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胸が張り裂けそうだ。
緊張し過ぎて苦しい。
今日も眠れないのかなぁ。

中学まで、僕のあだ名はノミの心臓だった。
身体は一番大きいのに、一番小心者だって言われ続けた。
試合になると急に足が震えだし、砲丸を握ってた手も震えて、自分の思う通りに身体が動かなかった。

高校の時に陸上部から逃げて、大学で久しぶりに出た大会に、足は震えなかった。
負けてもともと、気楽にやってそこそこの順位をとって、夏の大会もそんなスタンスで臨んでいた。
2年の時に、入賞が義務付けられた辺りから、試合の一週間前から寝付きが悪くなった。
ありとあらゆる嫌な想像が頭の中を巡り、不安やプレッシャーに押し潰されそうになった。
それに負けないように、年を重ねる毎に練習量は増えていき、比例して自分に課すプレッシャーは大きくなっていった。
4年の時、自分を支えていた先輩がいなくなり、僕の心はあっけなく折れてしまった、試合後に同期の前で泣いて吐露した、もう試合に出たくない、と。
でも、やっぱり陸上が好きで、紆余曲折しながら、またここに舞い戻ってきた。

こんな現状である僕にすら、周りの期待は少なからずある。
やはりそれがプレッシャーになる時もあるけど、今はこんな僕を応援し続けてくれる人たちに感謝し、明後日は今の自分にできる最高のパフォーマンスをしてこよう。