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誰もが通る道だと思う、部活に熱い奴が次期キャプテンになってくる。

自分はキャプテンがしたくて部活に入ったわけじゃない、競技がしたくて部活に入るんだ、そんな核心をついた後輩の言葉と苦悩に、僕は何も応えられなかった。

多分、競技に熱ければ熱いほどそういう悩みは出てくる、周りは無意識に頑張ってる人に決定を委ね、責任を被せる、だってその人が誰よりも頑張っていることを知ってて、その人ならやってくれると信じているから。

しかし、委ねられた側は、必ずしもみんなの期待に応えられるわけではない、行事を成功させようと考え、もしも失敗したらという重圧に耐え、周りの無責任な言葉に傷つき、それでも頑張り続けなければならない。

僕自身も一年生から次期キャプテンとしてのレールの上を走り、大なり小なり含めて何度も辞めたいと思った、理不尽さに激怒し、性格の悪い僕は何度も部活に迷惑をかけて辞める作戦を考えた。

彼の苦しみが理解できる分、僕は彼の言葉を何も否定できなかった。

 

一年後、彼は部活をつづけているのかな?

僕は、行事のたびに辞めたいと思うと同時に、行事のたびに周りの人に助けられて、自分の頑張りを認めてくれる人がいて、支えてくれる人がいて、そういうのを知っていくうちに、気付いたら部活が好きになっていた。

 

あいつは人一倍考えてしまう、それは誰よりも真剣に向き合ってるからだと思う。

その頑張りを続けていけば、必ず周りはあいつを認めてくれるし、応援してくれるよ。

少なくとも、もう俺はお前の頑張りを認めてるよ。

だから、もう少しの間頑張ってくれ。