砲丸投げ(48)

砲丸は、すごく地味な競技だと思う。
100mみたいな花形の競技ではないし、長距離(フルマラソンとか)とかみたいにテレビでみんなが応援してくれてるような人気種目でもない。
ハンマーや槍みたいに日本人が世界で活躍もしてない。
そんな地味な競技でも、僕にとっては専門種目であり、この競技にかける思いがある。

フィールドの特徴って、一人ずつ競技することだと思う。
ヨーイ、ドン!!
で、お互いに競いあい、少なからず周りより速かった遅かったの話が出てくる、、、だから、予選で流したりがあるんだろう。
それと違って、僕らは競技の瞬間、本当にただただ自分の理想を追い求めてるイメージ。
もちろん、僕らも周りとの勝った負けたはするけど、一斉に投げる訳じゃない。
自分一人だけのために用意された舞台で、今までの積み重ねの成果を見せる。
予選の記録は決勝に持ち上がり(本当に大きい大会の予選は標準記録が設けられてるけど)、だから一投目からベストを尽くす。

次の違いと言ったら、一発勝負じゃないこと。
100mの決勝なら、一回しかない、その100mに全てを注ぐ。
でも、僕らは決勝に進むなら6投ある、そのなかで当日の調子と相談して、自分の投げ方を微調整していく。
6回の中で、自分の最高の投げを目指す。

最後に、100mは最速の競技、マラソンは最長の競技、僕ら砲丸は最短の競技だってこと。
直径約2メートルの円の中で、僕らはどんなに長くても2秒しか競技をしない。
その2秒の中に、無駄を極限まで排除した力学的な動きが詰められていて、実はとっても知的だったりする。
でも、ただただ技術的なことだけでは限界がくる、砲丸の重さに負けぬよう、自分の身体を思い通りに動かせるよう、筋力は絶対に必要になってくる。
それが砲丸投げという種目だ。

僕は、2メートルのサークルの中で、たった2秒のため…自分の最高の2秒を追い求めて、日々頑張っている。
これが、僕が砲丸に魅了された理由。